お客様が語らない本音を知って共感を得る
これまでたくさん新製品や新事業の開発に携わってきました。ほとんどの場合、事前に消費者調査を行って、アイデア開発を進めました。顧客ターゲットの生活シーン・生活習慣・価値観を観察やインタビューから理解し、アイデアの素を作ります。その素からアイデアを何案か創り、それを顧客ターゲットに評価してもらって磨いていく。ごくごく標準的なプロセスですが、この観察やインタビューって、何年経験をしていても、本当に難しいと思います。
特に最近は「お客様が語らない本音を見抜くように感覚を研ぎ澄ますこと」に注力しています。
誰でも「嫌なことを言いたくない。変だと思われたくない。」と自然と思います。その気持ちを調査の回答に反映してしまうことは少なくありません。思っていることを言えなかったり、思っていないことを言ってしまったり。そうならないようにしつつ、そういうこともあると認識しておくことが重要です。
また、誰にでも1つの事柄に関して複数の本音があります。人に話せるポジティブな本音と誰にも言えない心の奥底にある本音。見ず知らずのインタビュアーに後者まで話してくれることは多くありません。
言葉にしない想いを感じる方法は複数あると思いますが、行動観察やデプスインタビューなど、顧客ターゲットと接して、表情や言葉のトーン、別の表現から“感じる”ことを私はお勧めしています。(もちろん現在は、新型コロナウィルス感染症問題の観点から見ても実施可能な方法で、となります。)また、自分で毎日の生活の中でそれをやってみて、自分の中に湧き上がってくる感情を観察する「なりきる」ことも有益です。
共感やファンなど気持ちのつながりが重要になっている今だからこそ、言葉にしない本当の気持ちまで理解することが必要です。